本研究では、脂肪酸ω酸化経路が飢餓のような緊急時に働く代謝経路であるとの仮説を立て、同代謝経路に関わる酵素系の解明と糖欠乏状態中の同代謝経路の働きについて研究を行った。 脂肪酸ω酸化経路の最初の反応はCYP4Aに分類される脂肪酸ω水酸化酵素により触媒される。本研究において、脂肪酸ω位の水酸基はアルコールデヒドロゲナーゼによりアルデヒドに酸化され、ついでアルデヒドデヒドロゲナーゼによりカルボキシル基にまで酸化されテジカルボン酸を生成することを明らかにした。さらに、体温環境下ではω酸化に加えてα酸化も同時に行われ、炭素数が奇数のジカルボン酸が尿中に排泄されることを見出した。
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