研究課題/領域番号 |
24651028
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研究機関 | 酪農学園大学 |
研究代表者 |
能田 淳 酪農学園大学, 獣医学群, 准教授 (70551670)
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研究分担者 |
萩原 克郎 酪農学園大学, 獣医学部, 教授 (50295896)
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キーワード | バイオエアロゾル / ウイルス / 大気環境 |
研究概要 |
本研究の検討モデルとして環境耐性或いは飛沫感染性のウイルス等を用いてナノからサブミクロンサイズ粒子を中心に検証を行っている。対象は津波などによるヘドロ堆積物由来の浮遊粒子状物質(SPM)とウイルスやバクテリアなどを含むバイオエアロゾルであり、これらが大気中で混和された状態を簡易型チャンバーにてシュミレーションして実験を行うことで病原性ウイルスなどの拡散メカニズム、修飾要因などが、感染性の保持にどういった要素が重要かを把握し、感染予防対策を施すための情報収集を行うことを目的としている。初年度にスウェーデンで構築されたシュミレーションチャンバーに異なる物質の導入試験を行った。今年度はバイオエアロゾル以外に、土壌由来ダストの発生装置を構築し、導入試験を進めた。土壌由来のサンプルから、いかに大気中で対流している粒子をチャンバー内で再現することが可能か、実験を繰り返し、再現性のある粒径分布の土壌由来ダストの生成が確立できた。また、バイオエアロゾルとして、扱いが比較的簡易なバクテリアの利用を試みた。これら浮遊粒子の捕集方法としては、小型のカスケードインパクターを試験し、異なる粒径ごとの捕集した成分量における違いを確認することが出来ている。バクテリアを使用した捕集試験からは、噴霧するバクテリア濃度の適確な選択が特に重要であることが確認された。バクテリアを含むバイオエアロゾルの生成には、特定の噴霧方法が重要である点がルンド大学のLöndahl研究チームへの視察を通して多くの情報提供を受けることができた。また、ヨーテボリ大学のHallquist研究チームとの話し合いで、チャンバーを使用した実験上の詳細な情報提供を受けることができ、研究を効率よく前進させることができた。ウイルスについては、小型チャンバーを試作してウイルス粒子浮遊挙動とモニターし基礎解析の予備試験を終えた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
チャンバーシステムの構築が終了し、異なる種類の生体由来物質(アルブミン、バクテリア)を含むエアロゾルの生成、導入にも成功しており、安定した粒子数が確認されている。また、ヘドロ由来エアロゾルの導入方法も確立することが出来た。その反面、当初予定していた、紫外線の照射システムの構築が遅れており、設置の準備を進めている途中段階であり、また全体の温度調整を行うことを検討していたが、サイズの大きさから恒温室の実験を検討しており、これらの実験の準備にやや遅れが出ている。また、当初予定していた、ウイルスを使用した噴霧試験ではより小型容量ケージでの試験は行っているが、本チャンバーシステムの利用ではやや遅れが出ている。
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今後の研究の推進方策 |
異なる種類の生物由来物質をエアロゾル化しての導入を進めていく。これには、バクテリアから、ウイルスなどのより、難易度の高い物質の導入を試みる。さらに、粒子サイズごとに採取可能なカスケードインパクターを使用して、異なるバイオエアロゾルの粒径ごとのゲノムを定量的な解析手法で測定を行う。それぞれの粒径ごと分布状況を測定にて把握した後、バイオエアロゾルとヘドロ由来エアロゾルを個別に生成してから混合試験を行なう。
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