研究概要 |
本研究は、Brown & Levinson(1987/田中監訳, 2011)のポライトネス理論をベースに、外国人学習者を対象とした日本語教育と日本人英語学習者を対象とした英語教育の教室内コミュニケーションを分析し、ポライトネスの視点からその共通点(普遍性)と相違点を検証することを目的とした。具体的な課題は、日本語授業および英語授業のデータから、ポライトネス理論の要であるポジティブ・フェイスとネガティブ・フェイスに焦点を当て、相互作用による共同構築の形としての教室談話(教師と学生のインターアクション、学生と学生のインターアクション)の特徴はなにか、日英両教室談話に違いがあるか、を分析し、B&L理論のポライトネスの普遍性を検証した。 初年度である平成24年度は、海外の動向を探り、先行研究を整理し、理論的基盤を強固なものにすること、そして英語教室談話データを収集し、データ入力をすることを主たる課題とした。 最終年である25年度は、実際に収集したデータ、①外国人学習者を対象とした大学日本語教育(JSL)の教室談話録画データと②日本人英語学習者を対象とした大学英語教育(EFL)の教室談話録画データを詳細に分析し、ポライトネスの視点からその共通点(普遍性)と相違点を検証した。それぞれの録画データから、ポライトネス理論の中心であるポジティブ・ポライトネス・ストラテジーとネガティブ・ポライトネス・ストラテジーに焦点を当て、相互作用による共同構築の形としての教室談話の特徴を明らかにした。その結果Brown & Levinson(1987)のポライトネス理論が日英教室談話においても普遍性があることが明らかになった。B&Lポライトネス理論の普遍性は様々な形で検証が行われているが、教室談話の中でそれを検証することは海外でも未だ行われておらず、これを初めて明らかにした意義と重要性は大きい。
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