本研究の目的は,ほめ行為の行為者にとっての効果を検討することである。本研究は達成目標理論にもとづき,能力ほめによる動機づけの低下と努力ほめによる動機づけの上昇がみとめられるかどうかを検討した。本研究の主な成果として,まず,能力についてほめる頻度と,知能は努力で変えられるという信念(知能の増大理論)と負の,知能は変化しないという信念(知能の固定理論)と正の,また,他人よりも悪い評価を避けたいという目標(他者-回避目標)と正の関連を見出した。また,ほめを操作する実験を行った結果,能力ほめによる課題への動機づけの有意な低下がみとめられ,ほめの行為者自身への影響を見出した初めての研究となった。
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