研究課題/領域番号 |
24654154
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 大阪教育大学 |
研究代表者 |
小西 啓之 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (70178292)
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研究分担者 |
平沢 尚彦 国立極地研究所, 大学共同利用機関等の部局等, 助教 (10270422)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 降雪量 / 測定法 / 極域 |
研究概要 |
本研究はダイヤモンドダストで代表される極域の降雪の降水量を近年開発された光学式降水量計やシーロメーターを用いて、正確に測定する手法の確立を目指している。そのため、以下の3項目を実施した。 (1)人工ダイヤモンドダストに対する光学式降水量計の感度の検証実験:実験室内でフリーザーおよび補助冷却装置を用いて高さ1.8mの円筒状の冷却筒内を-20~-35℃に冷やし、氷晶作成実験を行った。落下した氷晶をスライドグラスで受け顕微鏡及び写真装置で観察記録した結果、粒径が100μmを超える氷晶を実験室内で作成することができた。最大粒径は294μmであった。計測器の検定は次年度以降に行う。 (2)北海道内陸部で天然のダイヤモンドダストを光学式降水量計およびシーロメーターを用いた比較観測:氷晶や微細降雪粒子を国内で比較的多く観測される場所の一つである北海道中央部の陸別で降雪粒子観測を行った。降雪量を観測するため2種の光学式降水量計、飛雪計、天秤式降雪量計、また、降雪粒子の空間濃度を観測するためシーロメーターを設置し、さらに地上気温や風速を監視するため、地上気象観測装置も設置し、11月から3月まで連続観測を行った。概ね良好なデータが得られ、次年度以降に詳細な解析を行う。 (3)降雪粒子の形状や粒径の検証用に地上降雪粒子連続撮影装置の製作:地上に降った降雪粒子の形状および粒径を記録するため、水平に置いたガラス板に降った降雪粒子を下から拡大して数秒間隔で撮影できる降雪粒子連続撮影装置を試作した。撮影装置として数種類のUSBカメラの露光、低温対策、収録ソフトの使いやすさなどを比較した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度は、実験室内で(1)人工氷晶の発生実験、(2)氷晶粒径測定器の検定および(3)氷晶観察装置の試作を行い、屋外観測で(4)低温型雪結晶や氷晶の降雪量観測を実施する予定であった。このうち(1)の人工氷晶発生実験は、発生装置の作成を行い、期待通りの結果を出すことができた。一方この装置を用いた(2)の人工氷晶の粒径測定測器の検定は、まだ実施できていない。次年度以降の課題である。(3)の人工氷晶観察装置の試作は、いくつかの観察用カメラを、画像の拡大率や明るさの点で比較検討することを行い観察装置に適したカメラを選定した。今後、連続観察や防寒化対策を行い屋外で用いられるよう装置の改良を行う。(4)の屋外観測は、北海道陸別において11月に観測機器を設置し3月に回収するまで1月に集中観測を行うなどおおむね順調にデータを取得することができた。今後データの解析を行う。
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今後の研究の推進方策 |
次年度に行う予定項目は、(1)光学式の降雪粒子粒径観測装置の実験室内での検定、(2)氷晶観察装置の実験室内での防寒対策および連続観察装置の試作、(3)降雪粒子の実際の屋外観測として北海道陸別で初年度と同様の観測に加えて、防風柵の内外で比較観測を行い、風速と降雪粒子の捕捉率の関係を調べる予定である。これらの結果から光学式降水量計を用いた極域の降雪量のより精度の高い推定法を検討する。 また、研究成果を気象学会(春・秋)や雪氷学会(秋)で発表する。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究費の内訳 実験室内で行う観測装置の検定や観察装置の試作に用いるフリーザーおよび屋外観測で用いる防風柵や支柱などの物品費 野外降雪観測のための北海道陸別への旅費(11月設置、1月本観測、3月撤去) 野外観測およびデータ解析のための謝金 成果発表のための学会参加費 などを予定している。
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