本研究はダイヤモンドダストで代表される極域の降雪の降水量を近年開発された個々の粒子を測定できる光学式降水量計や降雪粒子全体の空間濃度を測定できるシーロメーターなどを用いて、より正確に測定する手法の確立を目指した。そのため、以下の3項目を実施した。 (1)ダイヤモンドダスト作成実験:降雪粒子は様々な形状、粒径をしているので、より正確な降雪量を求めるには、降雪量測定時に実際に降った粒子の形状を記録する必要がある。本実験では氷晶や雪結晶の画像を自動記録するため、まず実験室内で100μm程度の氷晶を連続して降らせる装置の開発を行った。実験装置は冷却装置としてフリーザーおよび補助冷却装置を用い、高さ1.8mの円筒状の冷却筒内を-20℃程度に冷やした上で、円筒内を水蒸気で満たし、断熱膨張法によって100μmを超える氷晶を人工的に作成した。 (2)氷晶連続観察装置の製作:降雪量検証用に降雪粒子を撮影する装置を作成した。ダイヤモンドダスト作成実験で用いた円筒内下部にUSBカメラを上向きに設置しカメラ直上のガラス板に降り落ちた氷晶の画像を連続して記録できるようにした。またガラス板に降り積もる氷晶が重なり合わないように、30秒間隔でブロワーで積もった雪を吹き飛ばす装置も合わせて作成した。 (3)北海道内陸部の陸別で、多種の光学式降水量計によるダイヤモンドダストの比較観測:氷晶や微細降雪粒子を国内で最も寒い町として知られる北海道陸別で、多種の光学式降水量計を用いて、11月から3月まで連続観測を行った。また、氷晶連続観察装置ものべ57日間動作させ、降雪粒子の形状を記録した。 最終年である今年度は、この地上降雪粒子連続撮影装置の製作に重点を置き、光学式などの間接的な測定法で測定した降雪粒子の粒径分布や落下速度分布とそのときに降った粒子の形状を比較できるようにした。
|