これまで様々な不斉反応が開発されており,その反応剤としてもっぱら点不斉や軸不斉などを有する化合物が用いられている。一方,精密有機合成化学において,らせん不斉触媒を用いた不斉反応の例は少ない。代表的ならせん化合物にヘリセンが挙げられる。ヘリセンの内部は優れた不斉環境であり,そのらせん内部に窒素原子などの配位部位を持つ化合物を合成出来れば優れたらせん不斉反応剤となると期待される。本研究では新たならせん不斉反応剤として擬アザヘリセンジオールを取り上げその合成を目的として検討を行った。その結果シスおよびトランス体の擬アザヘリセンジオールの合成に成功した。
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