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2013 年度 実績報告書

金属修飾有機薄膜表面における近紫外光誘起電子放出現象のフォトカソードへの応用

研究課題

研究課題/領域番号 24656037
研究機関近畿大学

研究代表者

田中 仙君  近畿大学, 理工学部, 講師 (20397855)

キーワード有機/金属界面 / 光電効果 / フォトカソード
研究概要

我々は、有機/金属界面電子構造への光照射の影響に関する実験をおこなってきたが、その過程で光電子放出に関する興味深い現象を見出した。それは、4eV以下の光照射によって、有機/金属界面から光電子放出が起こるという現象である。具体的には、微量の銀を亜鉛フタロシアニン(ZnPc)薄膜上に堆積させた表面に3.4eV程度の光を照射することで、光電効果による電子放出が観測された。銀やZnPc自体の仕事関数は4eV以上であり、単純な光電効果の閾値を考えると3.4eVの光照射では光電効果による電子放出が見られないはずである。そこで、本研究ではこの異常な光電効果の原因を探るとともに、光照射による電子放出現象をフォトカソードとして利用できないかという応用上の観点から研究を行った。
まず、光電子分光法を用いた実験で、ZnPc薄膜上にAgを蒸着することで電子構造にどのような変化が起こるかを観測した。その結果、ZnPc薄膜上にAgを蒸着することで表面がプラス、内部がマイナスとなるような真空準位のシフトが起こることが分かった。この結果、試料表面の見かけの仕事関数が低下することが示唆された。しかし、真空準位シフトだけでは試料表面の仕事関数が3.4eV以下にはならず、さらに複合的な要因があることが示唆された。そこで、原子間力顕微鏡や透過電子顕微鏡を用いてAgのZnPc薄膜上での構造を観測した結果、10nm以下の非常に細かい粒子状で存在しているときに電子放出が起きやすい傾向がわかった。Agの表面被覆率が多くなりすぎると電子放出能が低下した。これらのことは、銀の形状が電子放出に影響を及ぼしている可能性を示唆しており、Agの表面プラズモンが電子放出を支援しているのではないかと考えている。当初目指した期間内でのフォトカソードへの応用までには至らなかったが引き続き研究を進めており、萌芽研究として一定の成果が得られた。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2014 2013 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Anomalous photoelectric emission from Ag on zinc-phthalocyanine film2014

    • 著者名/発表者名
      Senku Tanaka, Tomohiro Otani, Ken Fukuzawa, Koji Ogawa, Junpei Azuma, Isamu Yamamoto, Kazutoshi Takahashi, Masao Kamada, and Ichiro Hiromitsu
    • 雑誌名

      Applied Physics Letters

      巻: (in press)

    • DOI

      10.1063/1.4876956

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 光電子分光法を用いた有機/金属界面における電子放出現象に関する研究2013

    • 著者名/発表者名
      田中仙君, 大谷知宏, 廣光一郎
    • 雑誌名

      電子情報通信学会技術研究報告

      巻: 113 ページ: 51-67

  • [学会発表] 光電子分光法を用いた有機/金属界面における 電子放出現象に関する研究

    • 著者名/発表者名
      田中 仙君、 大谷 知宏、廣光 一郎
    • 学会等名
      電子情報通信学会 有機エレクトロニクス研究会 (OME)
    • 発表場所
      大阪大学中之島センター

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公開日: 2015-05-28  

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