研究課題/領域番号 |
24656138
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
小宮山 正治 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40178372)
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研究分担者 |
武石 賢一郎 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (70379113)
小田 豊 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (50403150)
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キーワード | レーリ散乱 / 偏光 / レーザ光 / CCDカメラ |
研究概要 |
乱流燃焼場や乱流混合場では流速やスカラー量(温度,化学種濃度)が空間的に不均一かつ時間的に変動し,これらの特性が乱流混合や火炎構造を支配する.このような非定常な燃焼場の特性を理解し,応用技術に寄与するためには局所的な温度と速度場を同時に計測することが肝要となる.レーザ光を用いた応用画像計測は測定場を乱すことなく,非接触で現象を観測することができるために,レーザ光源およびCCDカメラなどの光強度検出器の発展と共に,現象の解明の手法として急速に普及してきている.燃焼場の特性を理解する上で,重要な要素である温度を計測する方法としてはレーリ散乱があり,散乱強度が比較的強く,瞬時の2次元温度分布を計測する方法として非常に有効なものである.しかしながら,レーリ散乱は周囲の燃焼壁からの背景光や浮遊する粒子からのミー散乱と同じ波長であり,ミー散乱よりその強度が弱いために,実験室内の清浄化された周囲空気流中の燃焼現象の計測に利用されている場合がほとんどである. そのため,本研究ではレーリ散乱のレーザ偏光面角度に対する散乱光強度の空間分布の違いに着目し,レーザ内部の倍波発生装置(SHG)の角度を傾けることで,発振するレーザ光の偏光面を傾けた.この傾いたレーザ光面をイメージ・インテンシファイア付きCCDカメラで計測することで,一方のカメラにはレーリ散乱と周囲背景光の画像を計測し,もう一方のカメラには背景光のみが計測されることを明らかにした.両者の画像からレーリ散乱のみを抽出する光学系を構築し,その適用性を検討した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は,レーザ内部の倍波発生装置(SHG)の角度を傾けることで,発振するレーザ光の偏光面を傾けた.この傾いたレーザ光面を2台のイメージ・インテンシファイア付きCCDカメラで計測することで,一方のカメラにはレーリ散乱と周囲背景光の画像を計測し,もう一方のカメラには背景光のみが計測されることを明らかにした.さらに,両者の画像からレーリ散乱のみを抽出し,計測可能とする光学系を構築し,実際の燃焼場に対して適用した.しかし,測定された結果に関して,レーリ散乱の測定精度が十分に検討されていない.
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今後の研究の推進方策 |
本研究ではレーリ散乱とミー散乱のレーザ光の垂直・水平偏向面による散乱強度分布の違いに着目して,両者の散乱強度の分離を試みるものであるが,レーリ散乱とミー散乱強度差が非常に大きいために両者を区別することが困難であると考える.そこで,本研究ではまずレーリ散乱強度と周囲背景光の分離を行うことを考える.レーザ光の垂直偏光面に対して,90 度方向から観測した場合にはレーリ散乱と周囲背景光が計測されるが,水平偏光面の場合には周囲背景光のみが計測される.しかし,この計測方法では2台のCCD カメラを用いるためにCCD カメラ感度の個体差を補正する方法,および2枚のレーザ光強度分布の違いを補正する方法を開発することが必要となるため,この点が計測方法を構築する上での課題になると考える.
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次年度の研究費の使用計画 |
本研究ではレーリ散乱とミー散乱のレーザ光の垂直・水平偏向面による散乱強度分布の違いに着目して,両者の散乱強度の分離を試みるものであるが,これまでの実験結果から,レーリ散乱とミー散乱強度の差が非常に大きいために両者を区別することが困難であると考える.このため,まずレーリ散乱と周囲背景光をその散乱強度特性の違いに基づいて分離する必要が生じ,未使用額が発生した. レーザ光の垂直偏光面に対して,90度方向から観測した場合にはレーリ散乱と周囲背景光が計測されるが,水平偏光面の場合には周囲背景光のみが計測される.この計測方法では2台のCCD カメラを用いるためにCCD カメラ感度の個体差を補正する方法,および2枚のレーザ光強度分布の違いを補正する方法を開発することが必要となるため,光学計測系のためのレンズ機器購入に未使用額を使用したいと考える.
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