研究課題/領域番号 |
24657030
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
石黒 澄衛 名古屋大学, 生命農学研究科, 准教授 (50260039)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | シロイヌナズナ / 細胞分裂 / 細胞質分裂 / タペート細胞 / GFP / RFP / チューブリン / ライブイメージング |
研究概要 |
葯を構成する細胞のうち、花粉母細胞とタペート細胞は同一の起源を持つが、前者が減数分裂で花粉を生じるのに対し、後者は花粉に対する哺育細胞としての働きを持つ。タペート細胞自身はもちろん減数分裂をしないのだが、細胞分裂に関しては通常の細胞とは異なった挙動を見せる。すなわち、タペート細胞は花粉母細胞の減数分裂に先行して二核化することが知られている。しかし、そのしくみや意義はよくわかっていない。そこで、本研究では、減数分裂前後のタペート細胞で働くプロモーターと蛍光マーカータンパク質を用いて、シロイヌナズナにおける二核化過程のライブセルイメージングを試みた。チューブリンにGFP、ヒストンにRFPを連結して有糸分裂の様子を観察した結果、分裂後期までは通常の体細胞分裂と同様に進行するものの、終期に形成されるフラグモプラストが遠心的な発達をしないまま消滅することが明らかとなった。従ってタペート細胞の二核化は、通常の体細胞分裂が細胞質分裂直前で停止することによって起こると考えられた。また、G2期に形成され、将来の分裂面を決める前期前微小管束がタペート細胞では観察されず、未発達のフラグモプラストとの関連が示唆された。 一部のタペート細胞では、二核化した核はそれで分裂を停止せず、核相の増加が起きることが報告されている。この核相の増加はエンドリデュプリケーションではなくエンドマイトーシスによるものであることが確認できた。つまり、タペート細胞の核は細胞質分裂を伴わない有糸分裂を最大2回行うことが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
顕微鏡下で有糸分裂を阻害しないように葯を培養しタイムラプス観察を行うというシステムが完成しただけでも1年目の成果としては大きな成果である。さらにタペート細胞の二核化の詳細な観察ができたことから、当初計画以上に進展していると言ってよい。
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今後の研究の推進方策 |
二年目に実施を予定していたタペート細胞のイメージングを今年度先行して実施したので、次年度はもともと一年目に予定していた花粉母細胞のイメージングを重点的に進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
顕微鏡下で葯を有糸分裂可能な状態に長時間保持してライブイメージングを行うには培養条件を細かく検討する必要があると考え、そのための人工気象器の購入や、培養試薬、資材の購入を予定していた。この条件検討が予想外に早く終了したためこれらの物品を購入する必要がなくなり、余剰の資金が生じた。この資金は次年度の研究を効率的に進めるための人件費や消耗品費、および研究成果の積極的な公表のための研究成果発表旅費として活用する予定である。
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