2011年3月に発生した東京電力福島第一原発事故によって拡散した放射性物質の樹木への吸収に及ぼす菌根菌の影響を明らかにするため、まず、樹木のセシウム吸収に関わるとみられる菌根菌の生理特性を調べた。培地へのセシウム添加による菌根菌のセシウム吸収は種によって異なり、また同じ菌株であっても培地に加えた窒素源の違いで吸収量が異なった。また、土壌鉱物に吸着したセシウムの遊離に影響を及ぼすとみられる土壌鉱物可溶化能を調べたところ、これら能力は、表層に有機物があまり堆積していない土壌で生育し、有機物分解能が低い菌において高く、野外のこれら菌の発生環境を反映していた。
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