研究課題
我々は近位尿細管細胞特異的オートファジー不全マウスを作成し、老化に伴い、尿細管細胞が肥大し、機能的にもアミノ酸尿や糖尿などを呈することを明らかとした。また、虚血・再灌流傷害により、尿細管細胞の傷害の程度がより高度になることを確認した(J Am Soc Nephrol 2011; 22: 902)。このオートファジー不全マウスで尿細管細胞に蓄積する凝集蛋白を解析することにより、尿細管傷害で観察される老化や炎症に関わる蛋白質が同定されれば、尿細管間質障害や老化を阻害する薬剤を明らかにすることを目的としている。現在、オートファジー不全マウスの尿細管に凝集した蛋白をレーザーマイクロダイセクション法により、2000個単離しており、また、同時に不溶性画分化法による単離を行い、shotgun 解析を行うとともに、得られたアミノ酸情報等をもとに、データベース検索を行い、機能やタンパク質の局在により、蛋白質を同定を行った。また、Moire現象を解析することにより、p62との結合様式も解析した。また、近位尿細管細胞特異的オートファジー不全マウスでは、高尿酸血症状態では、リソソーム破綻による近位尿細管障害をきたすことを報告した(EMBO J. 32:2336-47, 2013)。
2: おおむね順調に進展している
オートファジー不全状態における近位尿細管細胞に蓄積した蛋白を解析しつつあり、また、高尿酸血症における炎症のメカニズムを解明した
今後さらに、蓄積した蛋白と炎症惹起メカニズムのシグナルについて、さらに検討を加える。
すべて 2013
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件)
Autophagy
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