研究課題
中枢神経系の無髄線維の役割についてはほとんどわかっていない。その理由はどのシステムが無髄線維であるかと言うことついてすら明確な報告が無いからである。本研究では我々が最近sodium channel beta4 subunit の分布から確認した線条体投射線維が無髄線維であることに基づき、これまでほとんど理解されていなかった中枢神経系における無髄神経の特性を明らかにする。さらにこれと有髄神経系との比較から、中枢神経系における髄鞘形成のメカニズム、制御機構の解明研究の基盤を形成することを目的とする。これにより、中枢神経系における有髄、無髄神経の新たな研究領域を形成することを目指した。これまでに以下の点を解明した。1)beta4 subunitの異なるエピトープに対するモノクローン抗体、ポリクローン抗体を作成し、その染色性が一致しており、細胞内、細胞外ドメインが線条体投射線維でdiffuseに分布していることを確認した。2)この抗体を用いて免疫電顕を行い、beta4陽性線維が無髄線維であることを確認した。3)Beta4 promoter-Venusマウスを用いて線条体中型有棘細胞の遺伝子発現を検討した。これらの事実をbeta4ノックアウトマウスを作成し、beta4の線条体中型有棘細胞での機能について検索し、生理学的にresurgentcurrentの制御に働いていることを同定した。一方無髄線維の異常は検出できず、beta4欠損自体は無髄線維形成に可視的な異常を来していないと思われた。
3: やや遅れている
beta4ノックアウトマウスの解析が可能となったことで、beta4の無髄線維形成における機能解析の研究はより進展したが、研究室の移動に伴い、細胞生物学的な解析、特に中型有棘細胞の髄鞘形成能などの研究が遅れた。
ノックアウトマウスの解析を完了し、この時点での成果の発表を目指す。
研究協力者の移動や研究室の移転などにより、予定していた実験の停滞が生じてしまったため。抗体、培養試薬などを含む消耗品をもちいて研究のまとめのための実験を行う。
すべて 2014 2013
すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件)
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