研究課題/領域番号 |
24659645
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
高野 晋吾 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (50292553)
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研究分担者 |
上羽 哲也 高知大学, 医歯学系, 教授 (00314203)
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キーワード | グリオーマ / 血管新生抑制 / 内皮細胞 / 光線力学療法 / ペプチド療法 / アンチセンス・ホモロジーボックス / クラニアルウィンドウ / 管腔形成 |
研究概要 |
光線力学療法(PDT)に関しては使用するマウスクラニアルウィンドウモデルを確立した。このモデルでは脳腫瘍(グリオーマ)移植により、脳血管内の蛍光ラベルした白血球の血管内皮細胞に対する粘着能の低下が観察された。これは腫瘍血管の特徴を模倣したものであり、白血球の粘着能低下がインターフェロン投与によりもとに戻ることを明らかにした(未発表)。すなわち、インターフェロンの新しい血管新生抑制作用を明らかにした。in vitroの実験では、インターフェロンは腫瘍細胞のVEGF分泌を抑制することも示した。このモデルでYale大学のDr. Hoから供与されたtissue factor特異的ポルフィリンのin vitroでの評価をHUVEC(ヒト臍帯静脈内皮細胞)で行ったが、結果を出せなかった。標的細胞の血管内皮細胞の種類をより腫瘍血管い近い性状のヒト微小血管内皮細胞に変えて再度実験を行う予定である。 合成ペプチドに関しては血管新生に関わるFGF Receptorのアンチセンス・ホモロジーボックス(AHB)ペプチドを14種類作成した。このうち3種類のペプチドでグリオーマ細胞の増殖能に及ぼす影響をWST assayでみてみると、ペプチド(1-100nM)でグリオーマ細胞に対して20-30%の増殖抑制を示した(未発表)。上で述べたヒト微小血管内皮細胞に対する増殖抑制効果、マトリゲル上での内皮細胞の管腔形成の抑制効果をペプチド投与により検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
PDTに関してはtissue factor特異的なベルテポルフィリンをYale大学から入手したが、入手量は微量でvivoでは、数回分はないため、vitroの実験となった。内皮細胞(HUVEC:ヒト臍帯静脈内皮細胞)を用いたが、ポルフィリンの内皮細胞への取り込みがうまくいかなかった。 合成ペプチドに関してはVEGFアンチセンスホモロジーボックス(AHB)の設定に時間がかかった。そこで、VEGFに並んで腫瘍血管新生で重要なbFGF受容体のAHBに対するペプチドを合成した。Vitroで数種類のペプチドでの腫瘍細胞(グリオーマ)の増殖抑制試験を行った。
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今後の研究の推進方策 |
PDT実験ではマウスクラニアルウィンドウ、VEGF耐性モデル共に確立はできたので、今後は材料を整えて用いる段階である。まずは、血管内皮細胞の種類をより腫瘍血管新生に関与すると考えられるヒト微小血管内皮細胞に変更してvitro実験を行う。 合成ペプチドによる膠芽腫血管新生の抑制では、VEGF AHB に対するペプチドを15種類ほど作成し、 vitro実験を進める。特に上記の内皮細胞に対する増殖、管腔形成での抑制効果、特に腫瘍細胞で誘発される内皮細胞の遊走、管腔形成、および低酸素状態で誘発される内皮細胞の遊走、管腔形成に注目して結果を出してゆく。効果の高いペプチドを選択し、vivoモデルでのグリオーマ増殖抑制の検証を行う。
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