亜急性期脊髄損傷の問題点の一つとして脊髄組織の空洞化が挙げられる。私達は、この問題を解決するために成長因子を加えた新たな人工基質を利用した。脊髄損傷後の治療方法として様々な神経栄養因子や薬剤が利用されてきたが、私達はヘパリンを含んだ新たな人工基質にヘパリンに親和性を持つ塩基性繊維芽細胞成長因子を加えて利用した。これにより、塩基性繊維芽細胞成長因子は生体内で一月の間、その効果を持続できるようになった。私たちは部分切除術を行ったラットの脊髄にこの材料を移植し、神経再生の評価を行ってきた。その結果この材料は脊髄組織に親和性があることを認め、術後8週では神経細胞軸索突起の伸長を観察できた。
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