研究課題/領域番号 |
24659992
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研究機関 | 九州歯科大学 |
研究代表者 |
引地 尚子 九州歯科大学, 歯学部, 教授 (50292876)
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研究分担者 |
高橋 由希子 九州歯科大学, 歯学部, 助教 (10582778)
金久 弥生 九州歯科大学, 歯学部, 助教 (80582783)
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キーワード | リハビリテーション看護学 / 口腔ケア / リスクマネジメント |
研究概要 |
口腔病変を持つ患者の口腔ケアの特殊性は、口腔領域に病変があるため、口腔ケアにリスクを伴い十分注意しなければならないことである。しかし、口腔ケアの担当者は必ずしも口腔疾患の病態を十分に把握しているとは限らない。また、現在までのところ、口腔疾患患者の口腔ケアに伴うリスクについても十分に検討されていない。その状況下で口腔ケアを開始するのは、不安がある。従来、口腔疾患の治療は、インシデント・アクシデント報告の積み重ねによる、ヒヤリハット中心の主に医療従事者個人の意識付けを中心としたリスクマネジメント対策によって支えられてきた。しかし、口腔疾患患者の口腔ケアに関しては、「リスクが高い」という認識は一般的でなく、インシデント・アクシデント報告の蓄積は少ない。 そこで、本研究では、本来「製造業の品質管理」に用いられていたFailure Mode and Effect Analysis(FMEA)の手法を用いて、想定される失敗モードのリスク分析を行い、口腔疾患を持つ患者の口腔ケアに対する事前のリスクアセスメントを試みた。 本年度は昨年に引き続き、申請者が例として提示できるリスクアセスメントを行い、このプロトタイプのプログラムを提示して歯科衛生士・学生を中心にプロトタイプのプログラム検証、作成を行った。 また、疾患に対する理解と判断が的確にできるよう、疾患ごとにあらかじめ、「疾患の概要」をまとめ、それに対する「口腔ケア手順」も作成した。 現在、さらに疾患数を増加させ、疾患・手術ごとのプログラムを作成・検証中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度に引き続き、リスクアセスメントを行うことができた。しかし結果の集約化に向け、さらに疾患の増加が必要である。 また、疾患におけるリスクを評価するに当たって、口腔粘膜における炎症の評価など、基礎的な基準があまり確立されていないことが明らかになり、疾患によってはそのアセスメントにやや苦慮している。
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今後の研究の推進方策 |
リスクアセスメントについてはおおむね順調に進んでいる。 しかし、より多くの疾患についてリスクアセスメントを行いたいと考えており、参加人員の確保を図る。 一方、基礎的研究に裏付けられた診断・評価法が確立されていない疾患もあり、そのリスクアセスメントが困難なものもある。口腔疾患において重要な比重を占めるものにおいては、いくつか提唱されている診断・評価法の検証も必要であると考えている。そのため、基礎的な検証も行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度、リスクアセスメントを行った疾患例は増加したが、それを集約化するところまで至らなかった。また、基礎的な裏付けが必要であると思われたが、その研究準備に時間がかかった。よって、集約化や発表に必要な経費(会議費、WEB上の情報交換のためのインターネット環境の整備、学会参加費、投稿料など)および研究を行うために必要な経費(消耗品)が次年度に繰り越された。 今までの結果の集約化を急ぎ、発表に早期に至る。そのために、会議費、WEB上の情報交換のためのインターネット環境の整備、学会参加費、投稿料などに使用する。 また、確定的でない診断・評価法に対する基礎的研究手法を用いた検証も行うため、それに必要な消耗品を購入する。
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