研究課題/領域番号 |
24660011
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 愛知県立大学 |
研究代表者 |
服部 淳子 愛知県立大学, 看護学部, 准教授 (70233377)
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研究分担者 |
岡崎 章 拓殖大学, 工学部, 教授 (40244975)
西原 みゆき 愛知県立大学, 看護学部, 助教 (40582606)
森 園子(赤松園子) 愛知県立大学, 看護学部, 助教 (60457934)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | プレパレーション / 入院 / 小児 / プレパレーション・ツール |
研究概要 |
本研究では,入院児が体験する検査,処置といった様々な場面を取り上げ,基本的な説明内容を子どもの発達段階,性差,パーソナリティに則し検討し,提示すべき要素を明らかにすることを目的とし,その要素を現場の看護師が容易にカスタマイズして利用できるツールとして開発し,ネット上で公開し,無料ダウンロード提供できるシステムを構築することを目標としている。 これまでに,小児看護の専門家会議および文献検討から,プレパレーション・ツールには,子どもにとって勲章的な意味を含めることの必要性を認識し,シリーズとしてファイル等に収集できるデザインとすることを決定した。基本的ツールの対象は,幼児期~学童前期とし,どちらの性でも喜ぶキャラクターとすることとした。デザインは,拓殖大学感性デザイン研究室へ依頼し,作成された5案の中から,健常な子どもに対する聞き取り予備調査を行い,花びら型のツールを作成することとした。 小児専門病院の看護師と共同し,入院時に必要なプレパレーション場面について検討し,入院案内,採血,CT,MRI,腎生検,点滴,手術,退院の8種類を選択し,コンテンツ内容を検討した。コンテンツは,検査・処置の説明,日時,食事について,やってはいけない内容,お願いしたい内容等についてである。花びら型ツールは,CDケース等にファイリングでき,折りたたむと星や太陽など子どもが好むデザインが完成するものとなっており,多くの処置や検査を受けることによって,頑張ったご褒美として,ツールが収集できる仕組みになっており,闘病意欲にもつながると考えられる。また,ツールはファイルごと持ち帰ってもらうため,退院後にも頑張ったご褒美として自己効力感を高めることができ,次回入院や治療に対しても前向きに取り組むことができると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は,入院児が一般的に体験する一連の場面におけるプレパレーション・ツールを発達段階別,性別に作成する。その効果を子どもの心理的変化を評価することで検証し,ツールを完成させる。その後,無料ダウンロードできるシステムを構築するという流れである。 平成24年度の計画は,①入院児が体験する場面の中から,説明した方がよい場面を選定し,作成するプレパレーション・ツールの場面選定を行い,②選定した場面それぞれについて,説明内容を検討し,コンテンツを明確にする。③小児看護の専門家会議を開き,原案を検討,修正し,説明内容を決定する,④選定した場面それぞれに対するプレパレーション・ツールの場面構成を行い,各場面の絵のデザインを行い,イラストや吹き出しとして加える文言等を作成し,印刷,試作する,⑤試作したプレパレーション・ツールの評価,修正を行い,プレパレーション・ツールを完成する,である。 これまでに,文献検討から小児に対し説明した方がよい場面を検討し,入院案内,採血,CT,MRI,腎生検,点滴,手術,退院の8場面を選択し,コンテンツ内容を検討した。コンテンツ内容は,検査・処置の説明,日時,食事について,やってはいけない内容,お願いしたい内容等についてとし,それぞれのコンテンツに対し説明内容を決定した。その後,拓殖大学工学部感性デザイン研究室にデザインを依頼した。ツールは,子どもにとって勲章的な意味を含め,シリーズとしてファイル等に収集できるもので,対象は幼児期~学童前期とし,どちらの性でも喜ぶキャラクターとすることとした。作成された5案の中から,健常な子どもに対する聞き取り予備調査を行い,花びら型のツールを作成することとし,キャラクターは動物で,花びら型のツールを折りたたむと星,太陽,リンゴといったデザインが完成する仕組みのツールを作成した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は,プレパレーションおよびツールの有効性を検証し,ツールの修正を行い,ツールを完成させ,完成したプレパレーション・ツールをweb上で公開し,無料ダウンロードシステムを構築し,実際にダウンロードし,使用した看護師の意見や要望を検討し,適宜修正を加えていく予定である。 プレパレーションおよびプレパレーション・ツールの有効性の検証は,保護者および実際にプレパレーションを行った看護師,検査・処置にかかわった看護師からの子どもの反応,プレパレーションの効果に関する調査と客観的な評価として,サーモグラフィー装置を用いた,顔面表面温度の変化及び行動観察により,多角的に評価することとする。 これらの結果より,プレパレーション・ツールの修正を行い,完成したプレパレーションをWeb上で公開し,無料ダウンロードシステムを構築する。また,実際にダウンロードし,使用した看護師にカスタマイズ内容などを調査し,ダウンロードシステムに加えていく。また,精神発達遅滞児や広汎性発達障害児への適応についても検討していく。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究分担者の退職による辞退に伴う研究費使用実績額の減少やツールの開発のための有識者会議費用や旅費等の平成24年度実績額が支払請求額よりも少なかったが,平成25年度は,プレパレーション・ツールが8種類と多くなったこと,プレパレーションの有効性の評価に対する調査を保護者および看護師から行うこと,対象を500名と増やすことにより,プレパレーション・ツールの印刷費の増額(使用頻度に応じて100部~500部を印刷する:100円×2000部=200,000円)とCDファイルケース(300円×400名=120,000円)の増額が見込まれる。また,調査対象を増やすため,調査期間の延長のため,協力病院への交通費(2,000円×30日×3名=180,000円)等が必要であるため,平成24年度の残額によって対応し,平成25年度の計画を計画通りに実行する。
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