本研究では湿式処理の改良プロセスを新たに導入し、廃磁石中の鉄族金属を沈殿分離で除去するプロセス技術を検討した。Nd溶出率91.5%、Fe溶出率5.8%の条件にて、沈殿分離を実施した結果、鉄族沈殿物の除去率は99.9%以上であり、完全分離が実現できた。そのため、鉄族元素の電解回収に必要なエネルギーは0 kJ/molとなった。最終的に希土類種の電解回収のエネルギーを評価した結果、ネオジム金属1tの回収に要するエネルギーは約1.8MWh/tと算出された。これは従来法である溶融塩電解(約14MWh/t)と比較して、約1/10の消費エネルギーであり、省エネルギー型プロセスの技術開発に貢献できた。
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