外因性ステロイドがシナプス伝達の調節を介して動物の記憶や学習を増強することは多くの研究で報告されているが、脳内で生理的に産生された内因性神経ステロイドが同様の機序によってシナプス伝達を調節し、正常な脳機能の維持に寄与しているのかについては議論があった。我々はこれまでラット海馬歯状回において、ステロイド合成阻害薬による神経活動の変化を電気生理学的手法により調べることにより、内因性神経ステロイドは恒常的に興奮性シナプス伝達を増強していることを明らかにした。本研究では、内因性神経ステロイドによる興奮性シナプス伝達調節の作用機序の一部を明らかにすると共に、この作用は加齢によって低下することを見出した。
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