本研究では,赤血球変形能の定量評価を目的として,毛細血管サイズのマイクロチャンネル通過後の赤血球の形状回復過程を粘弾性力学モデルを適応して評価した. 様々なドナーの赤血球に対し,血液検査と形状回復時定数を測定した.その結果,健常者と比べると糖尿病患者等はより小さな値を示し,ばらつきが小さくなる傾向にあった.また,血液サンプル中の形状回復時定数の最小値は全てのドナーでほぼ一定の値を示したことから,脾臓による赤血球回収能力や毛細血管での赤血球微小循環能に相当していることが示唆された. 以上の結果から,本手法を糖化により膜硬化した赤血球をスクリーニングする方法として応用できる可能性が示された.
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