個々の癌患者に適した抗癌剤を高い精度で判別できる試験法の開発を目指し、癌細胞と間質細胞(癌間質線維芽細胞と単球)を用いて癌微小環境を模倣した擬似癌組織を構築した。同擬似組織を用いた検討により、間質細胞の存在によって癌細胞の抗癌剤に対する感受性が著しく変化することが分かった。また、基板上に固定化した単球と癌細胞から成る培養系を確立し、単球の影響により抗癌剤の薬効が促進されること、および、単球近傍に存在している癌細胞のみがその影響を受けることを明らかにした。これら、間質細胞の影響を考慮した本培養システムは、抗癌剤試験の精度向上に大きく寄与すると考えられる。
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