今回知的障害を持つ成人に対し,可能な限り知的機能を排した“運動”レベルにおける運動機能調査を実施した.結果,“運動”レベルにおいても知的障害者の運動機能は加齢に伴い多くの問題を有する可能性が示唆された.この中で手のフォーム異常は40-50歳代が転機となって悪化していることが多く,これは知的障害者のADL等に焦点を当てた多くの加齢研究と時期が一致する.また,フォーム異常が重度な方の中には筋の欠損が疑われる例もあった. このように多くの知的障害者が運動機能においても多様な問題を有しており,知的機能偏重ではなく運動機能についても考慮したケア方法の確立が急務であると考えられた.
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