がんは日本における死因の第1位を占める疾患である。精神的ストレスががん発症、進展の一因であるということは広く知られているが、その分子メカニズムについては、これまでほとんど解明されていなかった。そこで本研究では、精神的ストレスに関連するHPA系とがん進展のメカニズムの関連を検討した。その結果、精神的ストレスを受けると分泌が増加するコルチゾールが、濃度依存的に、ヒトの胃、大腸、子宮、乳腺、肺などの腫瘍細胞の増殖を促進すること、また低酸素などの環境も腫瘍増殖に影響することが確認された。したがって、精神的ストレスとがんの発症、進展を結びつける因子として、HPA系が関与する可能性が示唆された。
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