研究課題/領域番号 |
24700759
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研究機関 | 千葉工業大学 |
研究代表者 |
引原 有輝 千葉工業大学, 工学部, 准教授 (10455420)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | モータースキル / 体力・運動能力 / MVPA / 児童 / 追跡調査 |
研究実績の概要 |
本研究は、国内外の複数の運動スキルテストや体力テストならびに3次元加速度計による身体活動評価を行うことにより、幼少期の運動スキルや体力、身体活動状況のあり方が、小学校高学年時のそれらにどのような影響を及ぼすかについて明らかにする。それにより、幼少期のあそびや運動における具体的なプログラムや身体活動指針を作成するための知見を提供することが最終的な目的である。 昨年度までに、男女計248名を対象とした2年間の生活習慣状況の追跡調査を完了した。生活習慣状況の調査項目として、3次元加速度計により10日間の身体活動量(中高強度:MVPA、高強度:VPA、歩数、身体活動レベル:PAL)を測定した。また、習い事の数や種類、睡眠時間、休み時間の過ごし方など加速度計では計測不可能である質的な活動内容について質問紙を用いて調査した。さらに、保護者(母親)の生活習慣状況をDIHAL2を用いて調査した。 解析済みである加速度計による身体活動量と体力・運動能力やモータースキルとの関連を検討した結果、1年目の体力・運動能力(特に、総合得点)やモータースキル(特に、道具を操作する能力)が、1年目および2年目のMVPA(中強度活動)、VPA(高強度活動)、歩数との間に有意な関連を示した。さらに興味深いことに、体力・運動能力やモータースキルは、1年目よりも2年目の身体活動項目との間により強い関連を示した(相関係数ならび有意な相関を示した項目数が1年目よりも2年目で増加傾向)。 これらの結果から、低学年時において十分な体力やモータースキルを獲得しておくことは、その後のライフスタイルにおける積極的なスポーツ参加や活動的な日常生活の保持に好影響を与えることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請書を提出した段階では、小学1年生に体力テスト(運動負荷試験)やモータースキルテスト(TGMD-2)が適用可能かどうか確定していなかったため、小学2年生からの追跡を予定していた。しかし、その後の予備実験等により小学1年生にも安全性を確保して実施することが可能であることが明らかとなった。そこで、小学1年生を追跡の起点として、現段階で2年間の追跡調査を完了している。また、予定通りの対象者数ならびに追跡人数を確保できている点も研究の進捗状況が「おおむね順調に進展している」と判断した理由である。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度では、10月から11月にかけて最終年度の生活習慣状況を実施する予定である。また、10月の調査開始時期までに、対象者の習い事や睡眠時間、休み時間の過ごし方などの質的側面や、保護者の生活習慣状況と関連付けながら、1年生時の体力やモータースキルの獲得の恩恵について明らかにする予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額である約60万円は、当初、加速度計(およそ40台)の購入予算としていたが、それまでの調査による加速度計の破損等が少なかったことや、共同研究者から加速度計を一部借用できたことにより予算執行の必要がなくなったため、次年度に繰り越した。
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次年度使用額の使用計画 |
加速度計の補修代ならびに新規購入予算として使用する予定である。また、他国との身体活動量比較を行うために国外の主流な加速度計(ActiGraph)の購入予算としても検討している。
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