本研究では、運動により生じる摂食量の低下が、視床下部で発現しているNAD依存性脱アセチル化酵素(Sirt1)により調節されるか否かを調べ、運動が視床下部Sirt1を介し生体に及ぼす影響とその機序について検討した。 その結果、視床下部Sirt1は、運動における摂食量の変化には関与しなかったものの、高脂肪食摂取時には内臓脂肪の代謝に関与し、摂取エネルギーの減少時には摂食量の調節に関与することがそれぞれ示唆された。従って、視床下部Sirt1は、栄養状態の変化に対し、エネルギーの蓄積・消費を調節し生体の生理的な健常性維持のために機能し、その機能は運動により向上する可能性が明らかになった。
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