研究課題/領域番号 |
24700785
|
研究機関 | 至学館大学 |
研究代表者 |
谷口 有美(松山) 至学館大学, 健康科学部, 准教授 (20613996)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 保育・幼児教育 / 養成教育 / 職業意識 / 専門性 / 国際情報交換 / アメリカ / スウェーデン |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、米国における「保育者の専門性」の実態を把握しいかにしてその専門性の向上が図られようとしているかを明らかにすることである。それを明らかにすることで、社会において重要な責務を担う保育者たちの労働実態に迫り、かつその改善をはかる道筋を探ることができる。 本年度は、これまでの調査から得たデータを整理・分析し、その一部を国際学会での発表に利用した。国際学会での発表では、日本の保育を研究する米国人研究者との共同発表を主に実施し、米国人からみた日本の保育と日本人からみた米国の保育の比較研究を展開してきた。 また、これまでの調査で得られたデータや資料の整理および分析を行ったうえで、その特徴をより明らかにすることを目的として、スウェーデンの保育者の専門性に関わる調査との比較を展開した。スウェーデンでは2校の保育者養成機関(4年制大学)の協力を得て、保育者養成のあり方やその専門性の構築を調査した。さらに、スウェーデンにおける保育現場の現状と課題を明らかにするために、保育現場および保育者へのインタビューを実施した。米国とは大きく異なる社会福祉制度を施行するスウェーデンとの比較は、米国が内包する保育者の専門性の脆弱さを浮き彫りにする結果となった。特に、「アメリカ型福祉国家」であるがゆえに生じる保育者の社会的位置付けの曖昧さは、米国社会において大きな課題であることを改めて確認することとなった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度はこれまでに米国で収集したデータの整理および分析を行い、その結果の一部を国際学会において発表した。また、結果から得られた知見をより深化させるために、スウェーデンにおける保育者の専門性とその養成との比較を進めた。米国の社会福祉制度とは真逆の制度を運用しているスウェーデンとの比較は、米国の特徴やその社会性を理解する上で大きな助けとなっている。8月にスウェーデンでの調査および保育者養成機関での養成教育に携わる教員たちへのインタビュー調査や養成施設の視察も実施した。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は、米国での調査を継続するとともに、研究成果の発信を国内外で実施する計画である。また、米国において保育者養成に関わるシンポジュウムや研究大会が開催予定であるため、それらの活動に参加し、研究目的の達成をはかりたい。
|
次年度使用額が生じた理由 |
本年度は、所属先を異動した初年度ということもあり大学業務に多くの時間を必要としたことで長期出張をともなう米国での調査を十分に実施することができず本年度実施予定であった調査に関わる支出が予定よりも少なくなった。
|
次年度使用額の使用計画 |
次年度は、米国での調査の継続と国際学会での研究発表を実施する計画をしている。また、調査から得たデータの整理に必要な備品の購入を予定している。
|