本研究は、米国において保育者、保育行政関係者等への聞き取り調査や観察を行った。保育サービスの多様化が加速する中で、保育者に求められる知識や経験もまた多様化している。それは、保育者の働く場所が増加する一方で、その専門性が拡散し充分な知識や経験を持たない保育者の増加につながっている。換言すれば、保育サービスの量的拡大が保育の質、特に保育者の専門性の確保をないがしろにしているという課題があぶり出された。その一方で、保育者自身が鍛錬し保育者としての質を上げることが、自身の労働環境の改善を訴える動機となり、その結果として社会的威信の獲得にも繋がっていることが明らかとなった。
|