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2015 年度 実績報告書

非正規雇用のキャリアと雇用保障――1990~2000年にみる職域分離構造の変容

研究課題

研究課題/領域番号 24710302
研究機関立教大学

研究代表者

首藤 若菜  立教大学, 経済学部, 准教授 (30323158)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2016-03-31
キーワード非正規雇用 / 総合スーパー / 百貨店 / 雇用調整 / 雇用区分
研究実績の概要

本研究の目的は、非正規社員の職域拡大により、正規社員のなかに従来存在してきたジェンダーに基づく職域分離構造がどう変化してきたのかを、キャリアと雇用保障の観点から検証することである。女性就業者の多い小売業を対象として、大手総合スーパー2社と老舗の百貨店2社に調査をおこない、1990年から2010年までの期間において、1、雇用形態・性別の職域分離(職務とキャリアの分離)の変化、2、雇用調整のあり方の変化を明らかにし、これらのデータをもとに3、職域分離構造の変容をジェンダーの視点から検討した。
実態調査からは、次のような変化が起きたことがわかった。非正規社員は多様化し、長期に勤続し、キャリアを深めるものが誕生した。だが、多数の非正規社員は、従来とかわりなく被扶養範囲で働こうとしており、企業側の目論見は必ずしも成功していない。雇用保障については、本調査からは、店舗の閉鎖時等にも、労働組合の組織化後はとくに(実は組織化の前から)、非正社員に対しても正社員と同様に店舗間を異動させ、雇用を守る事例が、複数確認された。この理由として、労働組合の規制力、非正社員の技能蓄積、労働市場要因(人手不足)、取引費用の節約があげられる。
1990年から2010年までの20年間において、従来、男女別に人事管理をおこなってきたが、主に正社員の女性が担ってきた労働が、フルタイムの非正社員に置き換わってきたとみることができ、いずれも、そのほとんどは女性労働者が担うが、「性」を基軸とした雇用区分から、「雇用形態」を基軸とした雇用区分に変容した。すなわちそこに雇用管理上の質的な変化はなく、「身分」制の再編に過ぎないと言える。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2015

すべて 雑誌論文 (1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 経営のグローバル化と労使関係――フォルクスワーゲン社の事例を手がかりに2015

    • 著者名/発表者名
      首藤若菜
    • 雑誌名

      日本労働研究雑誌

      巻: 655 ページ: 102-109

  • [図書] これからの集団的労使関係を問う2015

    • 著者名/発表者名
      仁田道夫・日本労働組合総連合会編著、新谷信幸、濱口桂一郎、宮本礼一、後藤嘉代、逢見直人、村上陽子、神林龍、松井健、水町勇一郎、郡司典好、首藤若菜、青木幸裕、竹内寿、小畑明、工藤智司、呉学殊
    • 総ページ数
      255(146-165)
    • 出版者
      エイデル研究所

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公開日: 2017-01-06  

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