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2013 年度 実施状況報告書

枕草子を中心とした平安文学の章段・段落区分の研究

研究課題

研究課題/領域番号 24720099
研究機関福岡教育大学

研究代表者

沼尻 利通  福岡教育大学, 教育学部, 准教授 (90587635)

キーワード古代文学 / 文献学 / 源氏物語 / 枕草子 / 中古文学
研究概要

本研究の目的は、平安文学の写本・版本の形態から、文章の「区切り」や「段落」がどのように意識されていたのかを究明することである。
(1)『枕草子』の江戸時代の注釈書『春曙抄』の章段区分意識を究明した。『春曙抄』の区切り方のパターンは、(A)小見出しに章段名を書く場合、(B)頭注により文章を区切る場合(C)改行により区切る場合、(D)文中に合点を付す場合、(E)注に「筆のすさび」と注記する場合、(F)注に「別段也」「別の事」と注記する場合、(G)注に「こと物がたり」など注記する場合、などがある。江戸時代の別の注釈書である『枕草子抄』は、段の下に「節」を設け、整然と区分する立場であるのに対して、『春曙抄』はよりゆるやかに区分をとらえていたらしく、章段名の記述から別の連想を派生して、話をすすめていくことを「筆のすさび」や「こと物がたり」ととらえていたことが推測できた。
(2)江戸時代の『絵入源氏物語』の分析から、章段区分や文の区分についての考察を深めた。去年の成果は「桐壺」巻の分析だが、本年は「帚木」巻を分析した。「帚木」巻も、「桐壺」巻と同様に、文章の区切りが意識される箇所を改行とする例が多く確認できた。江戸時代の版本を作成するさいには、句読点を打たなくとも改行で文を区切る意識がありうることがわかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

(1)江戸時代の『絵入源氏物語』の分析は、「帚木」巻の、本文の異同、表記の異同、字母の異同という三点の視点ですすめた。この結果は、表記の異同、字母の異同については論文化し、公表できたが、本文の異同については、論文化と公表が遅れている。
(2)『枕草子』の春曙抄の章段区分の一覧表は完成したが、公表はできていない。また陽明文庫本の合点、朱点による章段区分の一覧表も完成したが、公表はできていない。
以上のように、データ自体は完成したものの、それを公表することができておらず、このことから、本研究は「やや遅れている」と判断した。

今後の研究の推進方策

(1)『絵入源氏物語』の研究は、「帚木」巻の本文の異同についての論文を公表し、さらに「帚木」巻の段落区分の方法について、本文史を踏まえた上での論考を発表する予定である。また「柏木」巻の分析に移り、本文の異同、表記の異同、字母の異同という三点の視点から、考察をすすめていきたい。
(2)『春曙抄』および三巻本の陽明文庫本の章段区分一覧表を公表していきたい。また、陽明文庫本の朱点・合点による区分は、他の三巻本I類本の朱点・合点と重なるのか、考察を深めていきたい。

次年度の研究費の使用計画

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発売延期となった書籍を購入する。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2014 2013

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件)

  • [雑誌論文] 『絵入源氏』三種類の本文表記―「帚木」巻から―2014

    • 著者名/発表者名
      沼尻利通
    • 雑誌名

      福岡教育大学国語科研究論集

      巻: 55 ページ: P15~29

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] 『絵入源氏』三種類の字母―「帚木」巻から―2014

    • 著者名/発表者名
      沼尻利通
    • 雑誌名

      福岡教育大学紀要 第一分冊文科編

      巻: 63 ページ: p1~14

  • [雑誌論文] 佐賀大学小城鍋島文庫『十帖源氏』の挿絵と覆刻2013

    • 著者名/発表者名
      沼尻利通
    • 雑誌名

      小城藩と和歌~直能公自筆『岡花二十首和歌』の里帰り~

      巻: なし ページ: p44~53

URL: 

公開日: 2015-05-28  

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