本研究では、平安文学の写本・版本の形態から、文章の「区切り」や「段落」がどのように意識されているかを究明した。研究対象としたテキストは、江戸時代の『絵入源氏物語』と『枕草子春曙抄』、陽明文庫本『枕草子』甲本である。これらのテキストを分析すると、それぞれのテキストの理論によって、区切りや段落が表記されていることが明らかとなった。例えば、『絵入り源氏物語』では、改行により区切りが示されることがまま見られ、また『枕草子春曙抄』は、注釈を付すことによって区切れを表すことや、陽明文庫本『枕草子』甲本は、朱丸印、朱合点などにより、区切れがあらわされていることがわかった。
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