研究課題
本年度は主として、1)視聴覚コーパスを用いたオノマトペ(擬音・擬態語)の構文と表出性の関係の研究、2)日本語オノマトペの視聴覚事典の開発、3)オノマトペ・認知意味論・類型論に関わる成果発表を行った。まず、オノマトペの構文と表出性については、NHK東日本大震災アーカイブス・NHK戦争証言アーカイブス・名大会話コーパス・ウェブコーパスを用いて、オノマトペ自体の使われ方(形態、統語、韻律、発声法)に加えてジェスチャーとの共起を量的・質的に観察した。この研究はマクスプランク心理言語学研究所のMark Dingemanse氏によるシウ語オノマトペの質的観察を発展させたものであり、彼との共同プロジェクトの一部をなす。次に、兼ねてより開発を進めている「オンライン日本語オノマトペ事典」を大幅に更新し、カナダの日本語教育系のシンポジウムで発表の上、論文化した。同事典の有効性を測る準備実験も実施した。最後に、比較的一般性のある講演等をいくつか行った。これには、慶応大学で共催したオノマトペ関連のワークショップにおける国内外の心理学者・言語学者への入門的講演、4言語の擬音語の多義性比較に関する名古屋大学で講演、空間移動表現と様態表現の類型論に関するいくつかの国際会議での成果発表などが含まれる。その他、統語論者や心理学者との共同研究も続行中である。
1: 当初の計画以上に進展している
主にNHK東日本大震災アーカイブス・NHK戦争証言アーカイブスの利用により研究の幅が広がったため、検証可能事項が格段に増え、関連共同研究も盛んになったため。また、国際誌の特別号や海外の学会からの招聘が増えたことにより、オノマトペまたはそれ以外に関する過去数年の研究成果をまとめる機会に恵まれたため。
本課題の最終年度となるH26年度は、関連研究の総括と成果発表を活発化させる。まず、オンライン日本語オノマトペ事典については、基本オノマトペ70語の項目を完成させる。各種コーパスを用いたオノマトペの構文と表出性の研究については、そのデータの美しさと革新性から、言語学の中核的な専門誌への成果発表を目指す。5月には史上3度目となるオノマトペ研究者の国際会議が開催されるため、関連成果の発表には絶好の機会となる。その他、オノマトペの形態統語論や様態表現の類型論に関するいくつかの論文を完成させる。
当初予定していた学会発表のいくつかが招待講演となり、旅費等が先方負担となったため。研究計画自体には変更がないため、前年度の研究費も含め、当初の予定通り研究課題を進めていく。
すべて 2014 2013 その他
すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (9件) (うち招待講演 4件) 図書 (1件) 備考 (4件)
English Linguistics
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言語学からの眺望2013:福岡言語学会40周年記念論文集
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オノマトペ研究の射程:近づく音と意味
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