本研究は、東北方言の指小辞「コ」、富山県砺波方言の指小辞「コ」「マ」、愛媛県西条方言の指小辞「コ」、そして沖縄県首里方言の「グヮー」に関する記述研究である。これらの指小辞は、次世代が継承しない危機的状況にある。したがって、本研究における指小辞の記述は、失われつつある日本語の指小辞に関する貴重な記録でもある。 歴史的に見れば、日本各地の指小辞「コ」は子という意味を持つコという語から意味変化と形態変化を遂げたと考えられる。また、日本語の指小辞の意味拡張のパターンは、諸外国語の指小辞の場合と一致する。ただし、日本語の場合は、その意味拡張のパターンに東西差があることが本研究で明らかになった。
|