白神山地域の4つの縄文遺跡の土壌標本を用いて、水洗選別による種子同定および炭化材の樹種同定、植物珪酸体・花粉分析を実施した。その結果、白神地域において初めて、クリ・コナラ亜属からオニグルミ・トチへのエネルギー源の変化を明らかにした。 また礫石器の使用痕観察・残存デンプン分析を実施し、北東北に特徴的な使用痕と、堅果類・根茎類のデンプンを見出した。さらにオオウバユリ加工、トチノキ加工に用いられた民具と考古資料との比較を行った。これらから、礫石器の使用痕、デンプンの違いは、自然環境の地域的な違いだけでなく、ヒトの利用植物の選択性の変化と大きく関わっていることが明らかになった。
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