本研究はタイ・エイズホスピス寺院における看取りケアと死の意味を理解することを目的とする。寺院の末期病者は十分なケアをされずに死んでいく場合がある。看護者は事前に病者の死を認定し、儀礼的な手続きにしたがって死を創り出す。本研究ではこのような社会的死を儀礼的死と呼ぶ。儀礼的死は仏教功徳によって支えられており、比較事例となるキリスト教施設の博愛とは異なる。儀礼的死は、そのプロセスを証言していく倫理的証人を必要とする。寺院で療養する者は、カルマに起因するすべての理不尽を赦し、忘却することによって来世への転生を引き寄せようとするからである。
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