本研究では、法と復讐感情との関係について法哲学的考察を重ねた。復讐感情は野蛮であるという一般的理解について再検討を行い、復讐感情は不正義の匡正を求める正義=公平感覚の発露であることを示し、その上で復讐感情が国家刑罰としての応報刑の正当化根拠となりうるかどうかについて考察を行った。国家刑罰としての応報刑の源泉は、個人の主観的な復讐(応報)感情から出発して一般化された復讐(応報)感情に求めることができると論じた。また、刑事政策におけるポピュリズムの台頭などといった、復讐(応報)感情を一般化するプロセスにおける問題や限界についても考究した。
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