本研究は、日本法をスイス法およびオーストリア法と比較することによって、日本の成年後見制度がとる行為能力の制限という手段が国連障害者権利条約に抵触していることを示し、改正の必要性を示すことを目的としていた。 結果として、オーストリアおよびスイスは、近年の改正により、本人の必要性および判断能力の程度に合わせて行為能力の制限を実施できるよう成年後見制度を改正し、さらに行為能力の制限を伴わない他制度を創設していることが判明した。ここから、日本の現行の成年後見制度が本人の行為能力を過剰かつ自動的に制限していることが明らかになり、制度改正が不可避であることを示すことができた。
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