本研究は、わが国の住宅政策の特徴を他の先進各国との比較において明らかにした上で、その規定要因を分析する。これまで政治学分野では、住宅政策をめぐる研究はそれほど蓄積されてこなかったが、先進各国の住宅政策は福祉国家分野で大きな影響力をもついわゆる「福祉国家の3類型」論からは説明ができない。住宅政策を説明する上では、①保革対立の展開、②都市・農村関係、③戦前からの制度遺産、という3つのアプローチを参考にする。検討の結果、①の保革対立の展開、とりわけ保守政党・社会民主主義政党間のダイナミクスが各国の住宅政策の態様を規定する上で大きな影響を及ぼしていることが分かった。
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