研究概要 |
本研究は,ハンセン病問題に携わってきた様々な支援者の実践を歴史的に遡って検討することで,病いや障害を生きる人々に対する〈支援〉の方途を探求することを目的としている.その実施二年目でありかつ最終年度である本年度は,前年度に行ったハンセン病問題と関わりのある知識人や支援者の営為に加え,新たに,各園で入所者の「社会復帰」や文芸活動の支援に携わってきた施設関係者の営為について調査・検討を進めた. 戦後のハンセン病療養所では,施設職員によって,入所者の「社会復帰」や園外活動を支援する様々な試みが行われた。岡山県の「邑久光明園」で視覚障害を抱える入所者への点字習得活動を行った森幹朗は,その後,日本の老人福祉研究のパイオニアとして活躍した.ハンセン病問題に施設職員などの形で関わった人々は,ほかにも,複数の領域で存在する.そうした人々の活動を視野に入れ、本年は調査・研究を進めた. このように,ハンセン病問題を巡っては戦前・戦後を通じて,多くの人々が様々な試みを模索した.彼らの活動の来歴などを視野に入れたうえで,前年度までの調査内容のさらなる補充につとめることで,これまでの研究において十分に着手されてこなかったハンセン病問題を巡る支援活動の全体像の把握を行った.
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