研究課題/領域番号 |
24730471
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研究機関 | 駒澤大学 |
研究代表者 |
荒井 浩道 駒澤大学, 文学部, 教授 (60350435)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 認知症家族会 / ピア・サポート / ナラティヴ・アプローチ / コラボレイティヴ・アプローチ / オープンダイアローグ・アプローチ / テキストマイニング / ナラティヴ分析 |
研究実績の概要 |
認知症介護家族を支援する社会資源として、「認知症家族会」が注目されている。だが近年では、ピアサポート(当事者同士の支え合い)機能が十分に発揮できず、活動が停滞するグループが増加している。認知症家族会のピアサポート機能を十分に発揮するためには、特別なノウハウが必要である。しかし現状では、各グループは“手探り”で運営を行わなければならず、活動の停滞、グループの解散などの問題をかかえている。こうした背景を踏まえ、本研究では認知症家族会の効果的な運営に寄与するため、ピアサポート機能に注目したマニュアルの開発と評価を目的とする。 平成27年度の主な研究実績は、(1)ナラティヴ理論の精緻化、(2)運営ノウハウの蓄積、(3)運営マニュアルの開発、(4)研究成果の発表、の4点である。(1)ナラティヴ理論の精緻化としては、ナラティヴ・アプローチ、コラボレイティヴ・アプローチ、オープンダイアローグ・アプローチをを手がかりに理論的な整理を行った。(2)運営ノウハウの蓄積としては、月1回程度開催されている認知症家族会に参加し、許可を得た上で発言内容をまとめ、発言録を作成した。(3)運営マニュアルの開発としては、オープンダイアローグ・アプローチにおける不確実性への耐性、平場のリフレクティング、ポリフォニックな対話などのアイデアを参考とした。(4)研究成果の発表としては、著書(共著)として木下大生・後藤広史・本多勇・木村淳也・長沼葉月・荒井浩道著『ソーシャルワーカーのジリツ―自立・自律・而立したワーカーを目指すソーシャルワーク実践』(生活書院)を出版した。また学会発表として日本社会福祉学会第63回秋季大会において「オープンダイアローグ・アプローチによるピアサポートファシリテーションの可能性と課題―認知症家族会を対象としたナラティヴ分析」と題する発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究では、運営ノウハウの蓄積として、月1回程度開催されている認知症家族会に参加し、許可を得た上で発言内容をまとめ、発言録を作成している。当初は平成27年度中に理論的飽和化に至る十分なデータを収集できる予定であったが、必ずしも十分なデータを収集できなかった。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度は、効果的なピアサポート実践の分析、運営マニュアルの開発と評価、研究成果の発表を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度に実施予定だった研究内容を平成28年度に実施することになったため。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度に効果的なピアサポート実践の分析、運営マニュアルの開発と評価、研究成果の発表を行い、研究全体を総括する。
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