教師が授業中に経験する様々な感情が,授業の過程にどのような影響を与えているかを検討した。主な成果は以下の3点である。(1)小学校,中学校の教員を対象とする質問紙調査を通じて,授業中に経験されている感情の種類についての整理を行なった。(2)授業の振り返りの分析を通じて,感情の生起と授業への影響を検討した。特に初任者について,事前の計画と実際の授業展開のズレによって引き起こされる負の感情が授業の妨げになること,長期的展望にもとづく「ひらきなおり」の感情が授業中の計画修正を促すことなどが示された。(3)授業過程におけるオンラインでの感情の測定方法として心拍数の応用可能性が示唆された。
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