本研究では自己愛性対人葛藤の抑制要因を解明することを目的とした。研究Ⅰでは、自己愛傾向が高いほど夫婦ともに怒りを表出しやすくなり、また相手から怒りを表出されることによって自分も怒りを感じやすく、それが夫婦関係満足を低下させることが明らかとなった。その一方で、ユーモア対処は、怒りの表出を抑制することが示された。これらの結果から、自己愛傾向の高い個人がユーモアによる対処方略を獲得することで、夫婦間葛藤につながる怒りの表出を抑制できる可能性が示唆された。研究Ⅱでは、ユーモア対処を高めるための簡易的なトレーニングを実施したところ、限定的ではあるがユーモアトレーニングの有効性が確認された。
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