本研究課題では、自分が報酬や罰を受けた場合の相手の記憶についての研究と、自分が報酬や罰を与えた場合の相手の記憶についての研究を行いその神経基盤について検討を行った。その結果、自分が報酬や罰を受けた場合には相手の意図の推論に関連する領域である側頭頭頂接合部が、自分が報酬や罰を与えた場合には情動に関連する領域である扁桃体が、記憶に関連する領域である海馬と相互作用することによって相手の記憶を促進することが示された。これらの結果から、社会的な文脈でやり取りされた報酬や罰が記憶に影響を与える際に関与する脳内での構成要素が示唆され、社会的な関係の全体像の理解の発展に貢献する成果を得ることが出来た。
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