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2013 年度 実施状況報告書

多面体の構成を通じたループ空間の高位ホモトピー可換性の研究

研究課題

研究課題/領域番号 24740053
研究機関防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工

研究代表者

河本 裕介  防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工, 総合教育学群, 准教授 (10531759)

キーワードループ空間 / 高位ホモトピー可換性 / ベキ写像 / 高位ホモトピー結合性
研究概要

今年度は,平成24年度に導入した高位ホモトピー可換構造(C(∞)-構造)により,有限次元ループ空間のホモトピー論的諸性質を解明するための研究を行った.
最初に multiplihedron と呼ばれる多面体により,C(∞)-構造をループ空間上のベキ写像に対する高位ホモトピー結合構造(A(∞)-構造)により特徴付けた.また有限次元ループ空間を素数 p で完備化すると p-コンパクト群という概念が得られるが,今年度の研究では非安定高位コホモロジー作用素や Brown-Peterson コホモロジー環など各種の研究方法を活用し,ベキ写像が A(∞)-構造を持つ p-コンパクト群の分類を行った.そのためこれらの方法に詳しい研究者を訪問し,研究打合せや情報収集を行った.
次に p-コンパクト群が p-完備化されたトーラスのホモトピー型を持つための条件をベキ写像の A(∞)-構造により特徴付けた.手法として,以前 p-コンパクト群に対する別の高位ホモトピー可換構造を調べた際に導入した D(∞)-代数を活用した.
これらの研究結果について,2013 年 11 月に岡山大学で開催されたホモトピー論シンポジウムにおける成果発表を行った.また学術雑誌に投稿するための論文を現在執筆中である.更に平成24年度に行った cyclohedron による高位ホモトピー可換構造の研究に関する論文 1 編が学術雑誌 Publications of the Research Institute for Mathematical Sciences より出版された.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初研究計画では,高位ホモトピー可換構造を持ちコホモロジー環が Steenrod 代数上有限生成環である p-完備化された無限次元ループ空間の分類を行う予定であったが,今年度は有限次元の場合を集中的に研究した.そのため有限次元ループ空間を p-完備化して得られる p-コンパクト群に対し,当初計画していたよりも精密な分類結果を得ることができた.
有限次元ループ空間に対して得られた分類結果を無限次元の場合に拡張する研究については,手法は以前の研究においてすでに開発済みであるため,ホモトピー局所化による C(∞)-構造の保存性を証明することにより,次年度に達成される見込みである.
また cyclohedron と multiplihedron の組合せ論的関連性を調べることにより,C(∞)-構造をループ空間上のベキ写像に対する A(∞)-構造により特徴付ける研究は当初次年度に予定していたが,今年度前倒しして着手することができた.
これらの研究結果については現在論文を執筆中であり,また研究集会においてすでに成果発表済みである.更に今年度は平成24年度の研究に関する論文 1 編が学術雑誌より出版された.これらの理由から,本件研究課題は現在まで全体的に順調に進展していると言える.

今後の研究の推進方策

今年度に引き続きループ空間のホモトピー論的諸性質を解明するための研究を進める.最初にホモトピー局所化が C(∞)-構造を保存することを証明し,今年度得られたベキ写像が A(∞)-構造を持つ p-コンパクト群に対する分類結果を p-完備化された無限次元ループ空間の場合に拡張する.そのため Farjoun の論文などホモトピー局所化に関する各種論文を調査研究する.
また今年度着手した multiplihedron により C(∞)-構造をループ空間上のベキ写像に対する A(∞)-構造により特徴付ける研究を更に一般化する.同時に cyclohedron と multiplihedron の組合せ論的関連性を調べることにより,ループ写像に対する C(∞)-構造を導入する.コンピュータ・グラフィックスなどを活用すると共に他分野の研究集会にも出席し,組合せ論など多面体に詳しい研究者からの情報収集を行う.
本研究の目標の 1 つは多面体を中心にホモトピー論と他分野を関連付けることである.そのため A(∞)-カテゴリーの場合を一般化し,cyclohedron や C(∞)-構造の高次元カテゴリーやオペラッド構造への抽象化に取り組む.そしてこれまでに得られたループ空間に関するホモトピー論的側面からの結果を他分野の解析に応用する.
最後に研究結果を学術論文としてまとめ,学会や研究集会における成果発表を行う.

次年度の研究費の使用計画

今年度は高位ホモトピー可換構造を持つ有限次元ループ空間を集中的に研究したため,有限次元に対して得られた結果を無限次元の場合に拡張するための方法であるホモトピー局所化に詳しい研究者との研究打合せと情報交換を行うための国内旅費は,次年度に使用することとした.また非安定高位コホモロジー作用素の手法に詳しい研究者との研究打合せ及び情報交換の一部を出張に代替して電子メールを通じて行ったため,次年度使用額が生じた.
更にプレプリント・サーバーなどインターネットを通じた最新の研究情報の収集と蓄積により,今年度必要とする最近の研究や海外の国際会議における情報が十分に得られたため,トポロジーや組合せ論に関する外国図書や雑誌の購入費用は次年度に使用することとした.
各種分野の研究集会に出席し,組合せ論など多面体に詳しい他分野の研究者からの情報収集を行うと共に学会や研究集会における成果発表を行うため国内旅費を 350,000 円使用する.またホモトピー局所化に関する論文などトポロジーや組合せ論に関する外国図書や雑誌を購入し,最新の研究や海外の国際会議における情報を得るため設備備品・消耗品費を 100,000 円使用する.
更に高性能のコンピュータと数学論文ソフト及びカラーレーザープリンタを購入し,コンピュータ・グラフィックスなどを用いた多面体の解析とインターネットを通じた研究情報の収集と蓄積及び学術論文の執筆と印刷を行うため設備備品・消耗品費を 350,000 円使用する.そして研究全体の成果を冊子として整理し,印刷製本するための費用を 50,000 円使用する.

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2013 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Higher homotopy commutativity of H-spaces and the cyclohedra2013

    • 著者名/発表者名
      Yusuke Kawamoto
    • 雑誌名

      Publications of the Research Institute for Mathematical Sciences

      巻: 49 ページ: 737-760

    • DOI

      10.4171/PRIMS/118

    • 査読あり
  • [学会発表] Higher homotopy associativity of power maps on finite H-spaces

    • 著者名/発表者名
      河本 裕介
    • 学会等名
      ホモトピー論シンポジウム
    • 発表場所
      岡山大学

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公開日: 2015-05-28  

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