最終年度は高位ホモトピー可換構造 (B(∞)-構造) がホモトピー局所化により保存されることを証明し,平成25年度に得られた B(∞)-構造を持つ p-局所化された有限次元ループ空間に対する分類結果をコホモロジー環が Steenrod 代数上有限生成環である p-局所化された無限次元ループ空間の場合に拡張した.そのため Farjoun の論文などホモトピー局所化に関する各種論文を調査研究した. また巡回多面体と乗法多面体の組合せ論的関連性を詳しく調べることにより,ループ写像に対する B(∞)-構造を構成した.情報収集のため組合せ論など他分野の研究集会に積極的に出席した.更に平成25年度から着手したループ空間上のベキ写像に対する高位ホモトピー結合構造 (A(∞)-構造) の研究を p-正則ループ空間の場合に拡張した. これらの研究結果について論文を作成し,学術雑誌に投稿した.また 2014 年 9 月に信州大学で開催された研究集会「空間の代数的・幾何的モデルとその周辺」における成果発表を行った. 研究期間全体を通じた成果として,巡回多面体を置換結合多面体の部分空間として再構成したことが最も重要と言える.これは終結多面体の場合に逸見と Kapranov-Voevodsky により得られた結果を更に一般化したものである.この分解に基づき,B(∞)-構造と以前の研究で置換結合多面体により構成した AC(∞)-構造との関係性を調べた.またループ空間の分類空間が T-構造を持つための条件をループ積の B(∞)-構造により特徴付けた.T-構造は自由ループ空間が基点付きループ空間に分解するかを調べるための重要な指標であるため,本研究成果の様々な応用が今後期待できる.
|