将来の大規模銀河サーベイを用いて精密宇宙論解析を展開する上で、銀河ダークマター関係の不定性、特に、銀河の乱雑運動に起因する非線形な赤方偏移変形による系統誤差が大きな障害である。本研究では、銀河分光サーベイに重力レンズ情報を組み合わせることで、銀河ダークマター関係の不定性を取り除き、宇宙の3次元質量分布情報を引き出す新たな解析手法を構築した。重力レンズ情報を組み合わせることで、重力模型を識別する上で重要な構造成長率の測定精度が2倍近く向上することがわかった。また、銀河パワースペクトルを多重極展開することで非線形赤方偏移変形の影響を取り除く新しい手法を構築したことは、当初の予想を上回る成果である。
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