本研究では,角度分散型顕微ラマン分光装置の開発を行った.本装置では,レーザー光の入射を0°,50°,100°の3方向から可能とし,検出を0°方向で行う角度分散の光学系を構築した.そして角度分散を利用した結晶方位測定を行った.角度分散特性を利用することによってアルミナの全結晶方位の同定に成功した.特に,従来決定できなかったa軸ならびにc軸の方位を完全に決定できた.最後に,多結晶部分安定化ジルコニアを対象として,角度分散特性を利用した多結晶体の応力測定の可能性を検討した.入射角度に対してラマンシフトの変化割合が変化し,角度分散特性による応力測定の可能性を確認できた.
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