生物の適応的運動機能の発現機序を理解する上で,力学系に基づいて自律分散制御則を設計し,その妥当性をロボットを用いて検証する構成論的アプローチは有効な方法論となる.しかるに従来のロボットが示す環境適応性は,実際の生物に比肩し得るレベルには達していない.申請者はこの原因が「身体の可変形性」の欠如にあると考え,本研究では身体の可変形性に由来する豊富な感覚情報から生み出される環境適応的な振る舞いの発現機序解明を目的とした.単純な身体構造にもかかわらず高度な環境適応性を示すヘビをモデル生物として採り上げ,行動観察,数理モデリング,ロボット実機開発を通して,その適応的運動機能の発現機序を明らかにした.
|