開花中は蒸散抑制能力を持たない花葉が維持現象の発現により蒸散抑制能力を獲得し、維持現象誘導後の切り花が長寿命化するとの仮説のもと、装飾的な萼片において維持現象が誘導されるアジサイを用いて調査を開始した。その結果、維持現象の誘導により装飾的な萼片からの蒸散量は増大すること、蒸散量の増大により切り花の花持ちは悪くなることが明らかになった。これは当初の仮説とは異なり、維持現象の誘導による切り花の花持ちの延長には、蒸散抑制ではない別の要因が関与することが示唆された。さらなる調査の結果、装飾的な萼片に存在する通導組織の成熟が、維持現象の誘導に伴う切り花の花持ちの延長に寄与する可能性が示された。
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