研究課題
シアノバクテリアのゲノムには自然突然変異が起きやすいことは経験的に知られている。従来までの手法では突然変異により環境ストレス耐性を獲得した変異株の原因遺伝子座を迅速に同定することは非常に困難であった。本研究においては、次世代シーケンス技術を用いたリシーケンス解析により、高温耐性の違いなど、異なる表現型を持つSynechococcus elongatus PCC 7942 研究室株群のゲノム情報を再整備し、表現型を決定している原因遺伝子を解明する。さらに、このリシーケンス株を親株として、新規に高温耐性突然変異株を取得し、リシーケンス解析などのバイオインフォマティクスを駆使して原因遺伝子座の解明をおこなう。昨年度までの解析により、5株の研究室株群のリシーケンス解析、及び遊泳性と高温感受性における表現型の差異に関わる原因遺伝子を同定できた。さらに市販の冷凍保存株から3株を単離してリシーケンス解析し、冷凍保存株中のヘテロ遺伝子型の問題も明らかにした。リシーケンスを完了した株のうち、Nodai株とNagoya株を親株とし、それぞれの株から新たに高温耐性突然変異株を取得した。これらの株のリシーケンス解析を実施した結果、Nogoya株を親株とした変異株はdnaB遺伝子の発現量やコピー数が増加するものが複数見られた。一方、Nodai株を親株とした変異株からは、これまでに高温ストレスとの関係が報告されていない新規遺伝子座の変異を観測した。これらの株のうち選抜された株についてトランスクリプトーム解析も実施した。詳細な解析の結果、Nodai株を親株とした変異株群は至適生育温度が高温側にシフトしており、これまでに知られるSynechococcus elongatus PCC 7942の生育上限温度を超える温度での生育も可能であることが明らかとなった。
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Photosynth Res
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10.1007/s11120-015-0111-3
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