研究課題/領域番号 |
24790103
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
下薗 哲 独立行政法人理化学研究所, 細胞機能探索技術開発チーム, 研究員 (40391982)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 核膜の透過性 |
研究概要 |
本研究課題は、核膜透過性の生物学的意義、特に核膜を介した受動拡散の生物学的意義を見出すことにある。特にSwiss3T3細胞において見出した間期における核膜の透過性変化の意義を解明することが目標である。 当初高分子量の蛍光タンパク質としてmECFP-AmCyanを用いる予定であった。しかしこの融合タンパク質は一過性の発現では高効率の発現を示したが、イメージングと解析の効率をあげるためmECFP-AmCyanを全ての細胞が発現する安定発現株の取得を試みると、共焦点顕微鏡による観察に耐えうるような発現の高いセルラインを得ることは出来なかった。細胞に発現させるベクターの検討、Venus-KikGRなどより明るい蛍光タンパク質の作製を進めた。一方、今後一過性発現の細胞を用いることも視野に、スループットを上げるために多点タイムラプスイメージング取得システムを立ち上げた。これまでは、一視野から高々数十の細胞からのみの観察であったが、このシステムを用いることによりその数十倍もの情報を一度の観察により取得できることになる。また、Venus-KikGRの他にV6と呼ばれるVenusが直列に6つ繋がったコンストラクトを入手した。Venus-KikGRはほぼ球状の構造をとることが予想されるが、V6はひも状の構造をとることが予想される。このコンストラクトを用いてタンパク質の形状と透過性についての検討を始めた。また、核をラベルする赤色の蛍光タンパク質のコンストラクションなど今後の研究に必要な材料の作製を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
蛍光タンパク質を高発現する安定発現株の樹立が達成できなかった。機能タンパク質の発現量は低くなることも予想されるが、単純な蛍光タンパク質の高い発現が達成できないことは予想されない事態であった。一方、多点タイムラプスイメージングシステムを立ち上げるなど、この安定発現株を得られないという問題を解消する試みを行い、データの取得を進める準備は整えた。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度に安定発現株を作出できないという不測の事態が生じ、研究計画に遅れが生じた。今年度はその遅れを取り戻すべく、昨年度にセットアップした多点タイムラプスシステムと一過的に蛍光タンパク質を発現する細胞を用いて、核の形態と核膜の透過性の相関を調べる研究に着手する。この研究ではXYZ-Tの4次元イメージングも行う予定である。また、Venus-KikGRを発現させたSwiss3T3細胞において、核に蛍光タンパク質が存在する群としない群の間でmKikGRを用いて核膜の透過性の特徴付けを行う。以上の研究により強固な研究成果を得たいと考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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